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毎年、5月31日は世界禁煙デー(World No-Tabacco Day)
   5月31日〜6月6日は禁煙週間です。

禁煙体験記懸賞募集入選作品集profile

昭和62年・平成10年におこなった禁煙週間事業の禁煙体験記懸賞募集入選作品集です。(目次のページへ)

優秀作(平成10年)「愛犬が教えてくれたたばこの害」

「愛犬が教えてくれたたばこの害」

                                      内 海   修(札幌市)

  我が家では、今までに3匹の犬が家族として暮らしている。2匹はすでに死亡しているが死因には共通している事がある。2匹とも「がん」だったことだ。
  時代の流れとともに食生活も豊になった事もあるからなのか、知らず知らずのうちにペットにも人間が食べている物と同じものを与えていることもあるのだろうが・・・。いまでこそ栄養バランスを考慮したペットフード販売されているが、一昔前では考えられないことだった。
  最初の犬のときは、3歳5ヶ月の寿命であった。食品添加物などによる身体への影響、特に「がん」との関係が騒がれていた時期でもあったのだが「何でも食べさせたことも原因だったのでは・・・」と反省した。3年ほど間をおいて飼った犬も2年の寿命であった。
  2匹の犬の死をきっかけに「がん」について少し学習した。すると読んだ本の中に「たばこの煙には有害性の化学物質が4千種類以上も含まれていて、たばこを吸わない人へも影響を与える」と書かれていたのだ。喫煙が健康を損なうことは分かっていたが、まわりへ及ぼす影響を知った時、「室内環境空間」の中で買っていた犬が2匹とも短命であったことに胸がつぶれる思いをした。天国から「喫煙は寿命を縮めるよ」と教えてくれたと思った。たばことがんの関係は言わずもがなのことだ。『たばこをやめよう・・・』と思った。私が禁煙をおもいきるキッカケは「愛犬」の死であった。
  私は、セブンスター40本を毎日吸っていた。1日の喫煙状況は余りと言えば余りだった。起床して5分もしないで一服に始まり、朝食の前後、バス停、地下鉄喫煙コーナー、通勤中は歩きながらと、ここまでに5、6本。勤務中と帰宅するまでに20本、就寝までに14、5本という具合だ。
  まず、禁煙するために自分自身の生活環境を変えた。私は禁煙することを誰にも話さなかった。人に言ってしまうとそれが結構負担になると、禁煙をした人から聞いたことがあるからだ。このことが幸いして、まわりから禁煙についての話題がのぼることはなかった。自分なりの時間配分で、禁煙に取り組むには好都合だった。
  次にしたことは、朝食をとってからすぐ歯を磨くことだ。この歯磨きが意外と食後の喫煙願望を妨げてくれたので朝食後も夕食後も実行した。昼食は外食をやめて弁当を持参した。周りで喫煙する人と一緒になる場所(喫茶店、レストラン等)だと、禁煙に集中できないと考えたからだった。最近は、喫煙場所もかなり制限されているが、禁煙環境に自分を置ける場所を探し積極的に利用した。音楽ホール、映画館、図書館など、仕事に支障のない範囲で通うようにした。これが趣味にかかわってきて、たばこのことが次第に忘れられるようになり、約2週間で禁煙に成功した。
  取り組んで3日目くらいからは食事もおいしくなり、朝起きた時のたばこによる胸のむかつきもなくなった。部屋の空気も何となく変わったように感じられ、その代わりに部屋にしみついていた「ニコチンのいやな匂い」が鼻につくようになった。禁煙を勧める人が話していることも、自分が禁煙してはじめて疑問が氷解した。
  二度とたばこを吸わないと誓ってから、約4年が経過した。そして家の中には、3年半前、わが家にやって来た1匹の犬もたばこの煙が漂うことのない、きれいな空気の環境の中で元気に暮らしていることは論を俟たない。
  最初に室内で飼った2匹の犬の死因が、私の喫煙による影響があったのかはわからないが、少なくとも、たばこの煙が吸わない人に及ぼす影響を考えれば「話のできない犬には迷惑」だっただろうと思う。
  禁煙運動の意味が、喫煙者だった時の私には決してわからなかった。分かろうとしなかったのだと思う。
  わが家の3代目の愛犬は、今日も元気で暮らしている。

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   昭和62年・平成10年禁煙週間事業
    禁煙体験記懸賞募集入選作品集
     2005年5月24日発行

 
発行者 北海道禁煙週間実行委員会
 
連絡先 札幌市中央区北4条西12丁目
     
北海道労働福祉会館4階
     
社団法人北海道衛生団体連合会内
     
電話 011−241−7924
 
編集人 黒木俊郎・鎌田慎一
  

事務局

〒060-0004
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