本文へスキップ

毎年、5月31日は世界禁煙デー(World No-Tabacco Day)
   5月31日〜6月6日は禁煙週間です。

禁煙体験記懸賞募集入選作品集profile

昭和62年・平成10年におこなった禁煙週間事業の禁煙体験記懸賞募集入選作品集です。(目次のページへ)

最優秀作(平成10年)「私の禁煙記」

「私の禁煙記」

                                      川 手 雅 美(札幌市)

 3ヶ月になる娘が声を出して笑うようになった。何と可愛いことだろう。子供の成長に、日々目を細めている私だ。
 この子のためにも、きれいな環境で育てたい。本当に、たばこを吸わなくなってよかった。かって私は超ヘビースモーカーだった。仕事、遊び、食事、たばこはいつも私のそばにあった。
 当時、同じようにヘビースモーカーだった父が、「俺がだばこをやめたら、おまえもやめるか」と言ってきたことがある。30年間愛煙家であった父である。そう簡単にやめられるはずがない。そう思った私は受けて立った。ところが父は、ピタッとやめてしまった。よっぽど私にたばこをやめて欲しかったのであろう。しかし、やめる気のない私は、父の前ではたばこを吸わなかったが、自分の部屋などで、隠れてコソコソと吸っていた。
 こんな私がたばこをやめたきっかけは転職であった。新しい職場は、ほとんどの人が嫌煙家で、仕事中、昼休み、アフターファイブと、愛煙家は肩身が狭かった。いい加減、家で隠れてたばこを吸うのも情けなくなってきた頃だったので、「いっちょうやめてみようか」と心機一転、禁煙を決断した私だったが、これがなかなか辛かった。
 仕事中は何かと抑えられるものの、問題はお昼休みだ。食事の後の吸えない辛さと言ったらない。そこで私は、食事はゆっくり時間をかけて食べ、食後はノンシュガーで低カロリーのガムを噛んで、長い長い昼休みが終わるのを待った。
 次の問題は、帰宅後だ。仕事から疲れて帰ってくると「まず、一服・・」と、たばこかが吸いたくなるものだが、これもガムでしのぎ、夕飯を食べる。そして極めつけは夕食後である。夕食後、たばこを吸いたいと思う前に行動開始だ。近くのスポーツクラブのプールに直行、である。かと言って泳ぐわけではない。ひたすら水の中をウォーキングだ。これが以外とリラックス効果があり、ストレス解消にもなる。
 この後、お風呂にゆっくりと入り適度に疲れた体でどっと寝る。そんな毎日を4、5日続けると、食後のガムがなくても大丈夫になった。勿論、その後もその生活をしばらく続けた。そしてたばこをやめたら太ったという話はよく聞くが、私の場合は3キロも痩せた。その間、意識してたばこを吸う友人に会わずにいた。たばこを吸う人といると意志の弱い私は絶対に吸ってしまうからだ。
 そして、もう一つ、お酒もなるべく控えた。酒は理性を狂わす。禁煙が、ばからしく思えてしまうのだ。禁煙中お酒の席で、どうしてもたばこが欲しくなってしまった私は、同僚から1本もらって吸ってしまった。その途端、なんと、めまいがして倒れそうになってしまったのである。1週間ぶりに吸って、体がニコチン中毒から正常に戻りつつあった時であったのであろう。こんなにたばこは体に良くないものだと、その時再認識したのである。
 こうして2ヶ月、3ヶ月が過ぎて、もうたばこを見ても心が揺らぐことがなくなった頃、喫煙者の友人と会った。友人は、たばこをやめた私に驚き誉めてくれたが、「でも、私はやめる気ないよ」と言う。私も無理に禁煙を勧める気はない。
 たばこをやめると言うことは、一にも二にも自分の意志だと思う。人に言われたからではなく、自分が本当にやめようと思わなければやめられないのだ。しかし、確実に言えることは、これからの世の中、愛煙家はますます肩身が狭くなる。「今がやめどきかな」と思ったら自分を試すのも良い機会だ。
この度、一人でも多くの方が禁煙に成功できるよう入選作を一冊に纏め発行しました。
 日本航空と全日空は国内線国際線すべての便を全面禁煙にしました。また、最近は公共施設、保健医療施設などでの禁煙が普及し、職場でも分煙対策が進んでいます。やっと日本においても生活習慣の中に禁煙・分煙の考えが定着してきたものと思います。
 作品は、禁煙を行う動機はさまざまであるが、多くの人が禁煙に努力していることが伺われます。喫煙量や喫煙期間あるいは年齢、性別に関係なく、禁煙に成功するまでの努力と苦悩が読み取れる内容で、いずれも貴重な禁煙体験記となっています。
 禁煙を考えたら、失敗を恐れず、まず実行することです。失敗してもあきらめず再挑戦することです。
 禁煙は、一歩進んで本人の強い意志と勇気と努力が必要であり、また、周囲の力強い協力者の応援が禁煙成功の秘訣のようです。
 「あなたなら禁煙できる!」自分の健康や周囲の人たちの健康を考え、禁煙に成功しましょう。

(目次のページへ)

   昭和62年・平成10年禁煙週間事業
    禁煙体験記懸賞募集入選作品集
     2005年5月24日発行

 
発行者 北海道禁煙週間実行委員会
 
連絡先 札幌市中央区北4条西12丁目
     
北海道労働福祉会館4階
     
社団法人北海道衛生団体連合会内
     
電話 011−241−7924
 
編集人 黒木俊郎・鎌田慎一
  

事務局

〒060-0004
札幌市中央区北4条西12丁目
北海道労働福祉会館 4階
北海道公衆衛生協会内
北海道禁煙週間実行委員会

TEL 011-222-3292
FAX 011-222-3292
E-mail:eidanren@tempo.ocn.ne.jp
    (@は小文字)

inserted by FC2 system