昭和62年・平成10年におこなった禁煙週間事業の禁煙体験記懸賞募集入選作品集です。(目次のページへ)
佳作(昭和62年)「わたしの禁煙日記」
「わたしの禁煙日記」
小 平 権(札幌市)
3年前、昭和59年4月8日午後3時。禁煙のスタートであった。この日は雪解け道を車粉をあびながらマラソンして帰ってきた。久しぶりの遠出であった。約16キロを1時間10分で戻ってくる。さて、一服。椅子に腰かけタバコに火を着けた。するとどうであろう。突然、吐きそうになり、頭がくらっとした。しかもタバコの味がまるでしない。まったくうまくもない。もみ消すと残りのタバコを棄てた。
マラソンはその2年前から始めていた。禁煙の日は累計約2千キロになっていた。だがそれまではマラソンが終わって一服という状態が続いていたし、タバコを止めることはできなかった。
ちょうど20から35歳まで15年間、毎日20本から30本を吸い続けてきた。実際のところ禁煙がいつまで続くか心配であり不安でもあった。そばにあれば、いつでも吸いそうな気がしたし、夢で喫煙の場面が何度もあらわれた。隣で吸っている人がいると気になった。
止めるのは一瞬でできる。しかし継続は難しいことを実感した。そのころ、ジョゼフ・マーフィー著「眠りながら成功する」(自己暗示と潜在意識活用)を読んだ。禁煙についてはなにひとつ書かれていないが、応用しようと決意した。イメージや心を何とか強化しよう。性格は短期な方だし、イライラすることが多い。それとタバコの喫煙とは関係があるようだ。
次の6項目を整理した。
@タバコを吸わないと火の心配がなくなって安心。
A空気もきれいだし灰皿の心配もなくて自由。
Bいつもゆったり生きよう。
Cタバコの嫌いな人とも人間関係がうまくいくし発展的だ。
Dタバコ代で貯金できる。
E周囲の人々がニコニコして喜んでくれる。
この6項目を繰り返し心の中で唱え、そしてそのイメージをはっきりと描いた。潜在意識に命令していく。正しくてよいこと、そして喜びなんだと心から思えるよう努力した。「喜び」こそ最大の励みである。難行苦行というのは、私には合わないし嫌である。「喜び」のために喜ぶ人がいると、はじめて力が沸く。毎日朝晩@からEまでを唱えた。
そして禁煙3年目である。イライラが減少し、ゆったり生きることも関係し、性格も大きく転換したかに思う。私にとって、総合的な効果となった。マラソン、そしてイメージトレーニングの勝利である。もはやタバコの夢はない。そして隣で吸っていても誘惑されない。
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昭和62年・平成10年禁煙週間事業
禁煙体験記懸賞募集入選作品集
2005年5月24日発行
発行者 北海道禁煙週間実行委員会 連絡先 札幌市中央区北4条西12丁目
北海道労働福祉会館4階
社団法人北海道衛生団体連合会内
電話 011−241−7924 編集人 黒木俊郎・鎌田慎一 |