「禁煙貯金びん」
田 巻 史 子(北見市)
11月14日昼休み、お弁当も食べたし、さて楽しみの貯金びんは、いくらたまったかな?千円札が12枚、百円玉が9個、50円玉が2個、しめて1万3千円也、いいぞこの調子ウフフ・・・。
チリも積もれば山となる〜私が禁煙貯金を思い立ったのは61年9月30日です。20日頃からカゼぎみになり、のどが痛くウィックスドロップをなめる、煙草を吸うとのどが痛い、またドロップをなめる、毎度おなじみの繰り返し。お金のない私がどうしてこんなばかな繰り返しをしなければならないのか?要するに煙草を飲まなければいいのだと以前にも挑戦した禁煙の決意を思い出しました。そうだ煙草を休もう、それで9月24日から休煙に入ったのです。
のどはすぐよくなりました。2日たち3日たち4日目、煙草が目の前にある〜のみたい、そうだこの仕事を片付けてからにしよう、仕事が片付いた、さて煙草、煙草〜。チョットまてよ、せっかく3日間がまんしたんだから、もう1日がまんしよう、何時でものめるんだから〜。で、また3日たった。今日で1週間。のどもよくなったし、煙草の箱を手に取る〜。
待てよ、この調子で行けば何日続くかためしてみよう、煙草を元の場所に置いた。仕事をしながらなにかよい方法はないかなぁ?3年前にスキーを買ったときに禁煙したことを思い出しました。あの時はマイルドセブン200円×30日=6千円、スキー代金13万円にはほど遠く、夢ははかなく消えたのでした。
こんどは物を買う前にお金をためよう、目標額は小さく3万円としよう、貯金箱はないので空きびんを利用する事にしました。自宅に置くとつい使ってしまうので職場に置いておくことにして、まず始めに1週間分千4百円を入れました。(マイルドセブン220円のうち端数は切り捨てることにした)毎日、お弁当を食べ終わったら200円を入れました。そのうち5日分まとめて5と10の日に千円入れることにしました。それが何とか現在まで続いているのです。
夕食後、主人が目の前でうまそうに煙草をのんでいる、思わず深呼吸をする、ああこの煙のみたい。手が伸びかかる、「う〜ん」がまんがまん、さっとお勝手に行き食器洗いをする。茶碗を洗いながら考えました。いままで34年も付き合ってきた煙草、いまさらやめることないわね、洗い物すんだらのもうと決めると不思議に落ち着き、また考えます。
「せっかく禁煙を始めたのに、いまのんだら女がすたるぞ、意気地なし」と自分をしかり、そしてお金がたまったら、なに買おうかなと思いました。ネックレス、毛皮のえり巻き?そうだ孫の健に自転車を買ってやろう。すぐ孫に手紙を書きました。中学の進学祝いに禁煙貯金で自転車を買う約束をしました。孫との約束は、守らねばなりません。これで一段と決心が固まりました。
禁煙を始めてから4ヶ月たちました。いまは禁煙に何の抵抗もありません。私は、このままずっと死ぬまで禁煙貯金を続け、たまったお金を楽しく有意義に使っていくことにしています。
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昭和62年・平成10年禁煙週間事業
禁煙体験記懸賞募集入選作品集
2005年5月24日発行
発行者 北海道禁煙週間実行委員会 連絡先 札幌市中央区北4条西12丁目
北海道労働福祉会館4階
社団法人北海道衛生団体連合会内
電話 011−241−7924 編集人 黒木俊郎・鎌田慎一 |