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毎年、5月31日は世界禁煙デー(World No-Tabacco Day)
   5月31日〜6月6日は禁煙週間です。

禁煙体験記懸賞募集入選作品集profile

昭和62年・平成10年におこなった禁煙週間事業の禁煙体験記懸賞募集入選作品集です。(目次のページへ)

佳作(昭和62年)「生徒との約束」

「生徒との約束」

                                        速 水 一 郎(札幌市)

 ことしも桜の季節がやってきて、新1年生を迎える時期となると、あの時の生徒との約束を思い出す。 『あんなに苦しいことは、もう二度と結構だ。お酒をやめた方が楽だったなあ!』と、いま考えると冷や汗もの・・・・。
 大学入学以来、煙草に親しんで23年間。外国ブランドをはじめピース、光などあるゆる銘柄はてはパイプまで愛好する始末。恥ずかしながら全盛時代?は1日2箱、特にアルコールをたしなんだ時の爆発的な消費量は、他人にマユをひそめさせるのみでなく、気管をはじめ身体までむしばんでいたのです。
 『おまえら、どうなっているんだ。女子全員が喫煙とはどういうことだ』と、思わず机をたたき大声でわめいた。当時、中学2年生の担任。現在の「いじめ」とは違って校内暴力真っ盛りで、教育現場は揺れに揺れてました。
 圧倒的な悪ガキ男子の影響を受けて、某クラス女子の悲しき現実。驚く無かれ全員に悪癖が及んでいたのでした。最初は興味、関心からのいたずらから始まったことが一学級、そして学年へと広がりつつあったのです。長い棒をもち悪魔の形相であった私の姿に、数人の者がおしっこをもらしたと後日話をしています。
 おずおずと話し始めたAさんとBさん、「先生も休み時間とてもおいしそうに吸っていますね」その通りです。授業が終わるやいなや、急いで職員室に戻り吸っていた私でした。
 ガーンと頭を打たれました。「ようし先生もへービースモーカー、先生も苦しいけどやめてみせる。君たちもからだに悪いし未成年だもの、やめよう。」ということで、サイン入りの約束をしたのが運のつき・・・。いらいら、かっかっかの禁断症状、誰も見ていないぞ、約束をたがえようという誘惑にどれほど悩まされたことでしょうか。職業柄、飲むチャンスの多いこと、人と話し合うときの間のとり方など、本当につらい毎日でした。なんとか7年間、1本も吸っていません。
 意志の弱い私ですが、1つは純粋な生徒たちと握手をして約束したことを裏切りたくない。2つめは妻、2人の息子との約束もしましたので信頼感をたもちたい。3つ目は私といっしょにやめてくれた同僚がいてはげましのあったこと、最後は、男としての誇りとでもいうのでしょうか。
 生徒に広がろうとした喫煙という問題が、最初はつらかったのですが、かえって私の精神、そして健康づくりに役だった1例を紹介した次第です。
                                   
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   昭和62年・平成10年禁煙週間事業
    禁煙体験記懸賞募集入選作品集
     2005年5月24日発行

 
発行者 北海道禁煙週間実行委員会
 
連絡先 札幌市中央区北4条西12丁目
     
北海道労働福祉会館4階
     
社団法人北海道衛生団体連合会内
     
電話 011−241−7924
 
編集人 黒木俊郎・鎌田慎一
  

事務局

〒060-0004
札幌市中央区北4条西12丁目
北海道労働福祉会館 4階
北海道公衆衛生協会内
北海道禁煙週間実行委員会

TEL 011-222-3292
FAX 011-222-3292
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