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毎年、5月31日は世界禁煙デー(World No-Tabacco Day)
   5月31日〜6月6日は禁煙週間です。

禁煙体験記懸賞募集入選作品集profile

昭和62年・平成10年におこなった禁煙週間事業の禁煙体験記懸賞募集入選作品集です。(目次のページへ)

佳作(平成10年)「私はこうして煙草をやめました」

「私はこうして煙草をやめました」

                                      新居田 総一郎(札幌市)

 一世を風靡した禁煙ハイポのCMコピーである。禁煙ハイポの助けを借りて禁煙に成功した例は少ないだろう。もっとも、彼のCMで小指を立てて「私はこれで会社を辞めました」とやっていたサラリーマンが登場していたが、そちらの方の印象が強かったように思う。
 さて、小生も2年ほど前に禁煙に成功した。それまでは心に思うことが、なかなか実行が伴わず、清々元旦の誓いにとどまるに過ぎなかった。
 実際問題、愛煙家にとって禁煙は実に困難なものである。強い意志と行動力、そして何よりも禁煙するに見合うだけの目標が肝要なのである。だから禁煙を心がけて失敗する最大の理由は、この目標設定が曖昧なために生じるのである。
 禁煙するに見合う理由、これがまた難しい。大病を患った人が禁煙する。これは禁煙の見返りに自分の命を延命するためである。友人と賭をして禁煙する。これは禁煙の見返りに金銭を享受するためである。いずれにしても明確な目標が設定されているのである。
 小生の場合、丁度、禁煙を実行する1年前に長女が誕生した。長女の誕生とともにたばこをやめようかと思ったのが、つい口が寂しくなって煙草に手が伸びてしまう。それでも狭いわが家の中では吸うまいと、外で吸っていた。星の煌めく中、煙草の火が明るくなったり暗くなったりする様は、さぞかし幻想的で風流なものであったに違いない。少なくとも小生はそう思っていたい。なぜならば、男がぽつんと家の外で煙草をふかす様は、何ともみっともなく風采の悪いものに違いないからである。
 そこで、小生は一大決心し、禁煙を実行することにした。煙草にかかるわが家の支出を計算してみた。1日に平均して15本吸うから1年間に274箱、金額にして6万3千円になる。塵も積もれば山となる。これだけあれば「些細ながらも家族旅行ができるなぁ!」と考えた。幸いにも小生も妻も旅行が好きだ。「禁煙する代わりに煙草代を毎日貯える」という、禁煙に具体的な目標を掲げた。220円の煙草代を毎日大きめの貯金箱に落としていく。1年間で8万4千円ほどの旅行資金が貯まる。
 禁煙当初の1週間で最初の禁断症状がピークになる。そんな時は目標を頭に浮かべ、ガムあるいはアメを食べる。そんな苦しみが1ヶ月続き、3ヶ月ともなるともう禁断症状が現れなくなる。我慢している時の苦しみは筆舌に耐えられないものであるが、禁煙に成功してしまえば、強者どもの夢の蹟「あっけないものだな〜」というのが実感である。
 ともあれ、禁煙は成功し、今では毎日貯金箱に小銭を落としていくことが日課にもなり、チャリーンという音を聞かないとその日が落ち着かないのだ。新たな中毒症状が出現してしまった。だが、そのおかげで昨年は鳥取砂丘を家族で旅行した。今年も和歌山の方へ家族旅行を計画している。
 現在の目標は、煙草代を上げて海外旅行を実現することである。
 おっと煙草を買う時間だ。
 小生は妻に両替を頼むと、貯金箱に落ちる小銭の響きよい音に耳を傾けるのであった。
                                    
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   昭和62年・平成10年禁煙週間事業
    禁煙体験記懸賞募集入選作品集
     2005年5月24日発行

 
発行者 北海道禁煙週間実行委員会
 
連絡先 札幌市中央区北4条西12丁目
     
北海道労働福祉会館4階
     
社団法人北海道衛生団体連合会内
     
電話 011−241−7924
 
編集人 黒木俊郎・鎌田慎一
  

事務局

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